入国管理局が入国管理長に格上げされるとともに、2019年4月1日から新しい在留資格「特定技能」がスタートしました。この記事では、当社「特定技能シェルパ™」に特に質問の多い留学生(日本語学校在籍のベトナム・ミャンマー・インドネシア・中国・タイ・フィリピン・カンボジア・ネパール・モンゴルに限る)が「特定技能」を取得する方法・流れを説明していきます。
なお、2019年6月現在の情報のため、最新情報および意思決定は法務省HPをご参照ください。http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00127.html
在留資格「特定技能」は、「特定産業分野(14業種)であって相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動」であることが明記されています。
そこで、下記14業種の内、国内(原則国外開催)で開催される「特定技能評価試験」に受験し、合格することが必要となります。しかしながら、2019年6月上旬時点では、開催時期が未定のもの及び国外のみの試験実施となっている分野もございますので、意思決定に関しては下記情報サイトに直接お問い合わせください。
国内試験を受験できるのは、日本に在留中の中長期在留者または過去に中長期在留者として在留していた外国人ですが、「退学除籍留学生及び失踪した技能実習生のほか特定活動(難民申請)の在留資格並びに技能実習など当該活動を実施するにあたっての計画の作成が求められる在留資格で現に活動中のもの(その活動計画の性格上、他の在留資格への変更が予定されていないもの(注1)、又はその活動計画により当該活動終了後に特定の在留資格への変更または在留期間の更新が予定されているもの(注2)については、国内での受験資格が認められません。
また、特定技能の在留資格に関し、退去強制書の円滑な執行に協力しない外国政府などの国籍を有する者についても同様に国内での受験はできません。
技能試験を受験できない者 | 退学・除籍留学生 |
失踪した技能実習生 | |
特定活動(難民申請) | |
(注1)に該当する者 | |
(注2)に該当する者 |
(注1)その活動計画の性格上、他の在留資格への変更が予定されていないもの
・技能実習
・研修
・特定活動(日本料理海外普及人材育成事業)
・特定活動(特定伝統料理海外普及事業)
・特定活動(製造業外国従業員受け入れ促進事業)
・特定活動(インターンシップ)
(注2)その活動計画により当該活動終了後に特定の在留資格への変更または在留期間の更新が予定されているもの
・特定活動(外国人企業活動促進事業)
・経営管理(外国人創業人材受け入れ促進事業)
「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力を確認する」とされており、国内の留学生の場合は、国内実施の日本語能力試験「JLPT」において、「N4」以上を取得していることが要件となります。
日本語能力試験「JLPT」に関しては下記サイトをご参照ください。
https://www.jlpt.jp/
また、特定技能試験においても、業務上必要な日本語能力水準を満たしているか否かが試験により確認されます。
在留資格「特定技能」に関しては、学歴要件は不要です。そのため、留学生として在留している外国人は、日本語学校を卒業していなくとも、その他の要件をクリアしていれば特定技能に在留資格変更許可申請すること実務上可能となります。
在留資格「特定技能」を取得する場合、受入機関(雇用会社)と特定技能外国人(今回は留学生を想定)は直接雇用でなければなりません。人材派遣等は不可となります(例外:農業・漁業)。ただし、有料職業紹介は可能となりますので、当社「エベレストキャリア™」をご利用いただくことも可能です。
併せて以下の要件もクリアする必要がございます。
・フルタイムで業務に従事するものであること。※1
・同等の業務に従事する日本人労働者の報酬額と同等以上であること。※2、3、4
※1 本制度におけるフルタイムとは、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、週労働時間が30時間以上であることをいいます。
※2 特定技能外国人に対する報酬の額については、外国人であると言う理由で不当に低くなると言うことがあってはなりません。同程度の技能等を有する日本人労働者がいる場合には、当該外国人が任される職務内容や、その職務に対する責任の程度が当該日本人労働者と同等であることを説明した上で当該日本人労働者に対する報酬の額と同等以上であることを説明する必要があります。なお、これにより外国人労働者と比較した際に、日本人労働者に不当に安い賃金を支払う結果とならないように留意しなければなりません。
※3 同程度の技能等を有する日本人労働者がいない場合については特定技能外国人に対する報酬の額が、日本人労働者に対する報酬の額と同等以上であると言う事について、賃金規定がある場合には同規定に照らした個々の企業の報酬体系の観点から説明をする必要があります。
賃金規定がない場合には、例えば当該外国人が任される職務内容や、その職務に対する責任の程度が最も近い職務を担う日本人労働者と比べて、どのように異なるかという観点から説明を行う必要がございます。
※4 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設(社員住宅、診療施設、保養所、体育館など)の利用その他の待遇について、差別的取り扱いをしていないことも求められます。
在留資格「特定技能」の要件として「健康状態が良好であること」と規定されており、特定技能外国人が、特定技能に係る活動を安定的かつ継続的に行うことを確保する観点等から当該外国人の健康状態が良好であることを求められています。
そのため留学生なので日本在留中のものが、「特定技能」へ在留資格を変更しようとする場合には、日本の医療機関で医師の診断を受けることが必要です。
提出する立証書類が健康診断個人票(参考様式第1-3号) に記載した健康診断項目を検診し、「安定・継続的に就労活動を行うことについて」医師の証明があることが求められます。
特に診断項目のうち「胸部エックス線検査」に異常所見がある場合には、喀痰検査を実施し、活動性結核でないことを確認することが求められますので注意が必要です。
上記要件をクリアし、受け入れ機関(特定技能所属機関)が法令で規定された責務を全うし、労働関係法令、社会保険関係法令および租税関係法令を遵守や、欠格要件に該当していない等の要件をクリアしている場合には、外国人(留学生)の住所地を管轄する地方出入国在留管理局へ特定技能への「在留資格変更許可申請」を行います。また、申請は「本人申請」が原則となりますのでご注意ください(当社在籍の「申請取次行政書士」に依頼することも可能です)。
在留資格申請の審査の結果、特定技能へ変更許可された場合には、晴れて「特定技能1号」として日本で5年間の就労活動を行うことができます。
いかがだったでしょうか?
在留資格「特定技能1号」を取得するためには多くの要件をクリアしなければなりません。「特定技能シェルパ™」には、在留資格申請に精通したプロが多数在籍しておりますので、まずはお問い合わせ頂ければと思います。また、「特定技能1号」取得後も様々な法律の規定がございますので、専門家のサポートを受けることを推奨いたします。
文責:everest
執筆:2019年6月1日